空飛ぶウミガメと成田の桜

ファーストコンタクト

「ANAの新しいA380だっ!!」
ファインダーにとび込んできた見慣れない色取りの機体
興奮しながらシャッターを切っていた。
「やった! 桜と一緒に撮影できた!」

思いがけず出会えた超大型旅客機は
その巨体にウミガメを描く
導入されたばかりの「AIRBUS A380型機」
別名「空飛ぶウミガメ」
慣熟フライトの
(このときは知らなかったが)
初離陸だった。

「離陸が撮れると、着陸も気になるな……」
スケジュールは非公開だったけど
折り返し便があってもおかしくない。
その存在を知ると気になってしかたなかった。
ところがしばらくするとすっかり忘れ(笑)
桜と飛行機の撮影に没頭していた。

そして数時間が経過――

スマートフォンでフライトレーダーを見ると
折り返し便が紀伊半島上空をすでに飛行中
危なく見逃すところだった。

「さて、どこで撮ろうか……」
いまは北風で、おそらくA滑走路の
34Lに着陸するだろう。

候補は二つ
「桜」か「菜の花」
けさの様子だと「桜」はまだ七部咲き
場所的に逆光だが、絵コンテはすぐ思い浮かぶ。
「開花期間も短いし……よしっ、桜と絡めよう!」
菜の花はまた別の機会でもよさそうだ。

撮影場所は決まった。

そのとき自分は、空港南側の
撮影ポイントまで
あとすこしの所に来ていた。

あわただしく移動している最中でも
聞き逃さなかったのは
信号待ちのタイミングだったから。

やっと東京アプローチと交信を
開始したターゲット。
これで安心できると思っていた。
使用滑走路が判明する、
きっと34Lだ。

しかし
聞こえてきたのは
思いもよらない管制官の第一声

一瞬で頭が真っ白になった。

<続く>